大切な花選び
Q: では、いよいよ自分で花を買ってきて、アレンジしてみようというとき、どのような点に注意して花選びをしたらよいでしょうか?
A: まず第1に、花材の役割を知ること。次に、花の色と質感を知ると、よい花材を選ぶことに役立ちます。また、よい花を見分けるコツも必要ですね。
フラワーアレンジメントに使われる花材には、それぞれ役割があります。
花材は、一般的に次の4つのタイプに分けられます。
1. ラインフラワー (Line Flower):
アレンジメントのアウトライン、骨格部分を作る花のことを指します。アレンジの高さや横幅をとる役割です。茎のしっかりした、茎から花にかけて先細りの、長い丈の花が適しています。
例えば、グラジオラス、スナップドラゴン(キンギョソウ)、デルフィニウム、ストックなど。
2. マスフラワー (Mass Flower):
アレンジの主体となり、量感を出す花のことを指します。花付きがよく、重々しく丸みのある花が適しています。1本の茎に、1個の丸みを帯びた花が咲いているのが特徴的です。
例えば、バラ、カーネーション、菊、ダリア、チューリップ、アネモネ、ガーベラ、コスモスなど。
3. フォームフラワー (Form Flower):
花のシェープがとてもユニークで、目立つ花のことを指します。一番美しくアレンジメントの中において目立たせたい花で、またフォーカルポイントとして使われます。
例えば、アンスリウム、オーキッドの蘭、アマリリス、ひまわり、ゆり、アジサイ、ゴクラクチョウ(Bird of Paradise)など。または、マスフラワーから、一番目立つ花を使うこともあります。
4. フィラーフラワー (Filler Flower):
アレンジメントの中の花と花の間の隙間を埋める役割をする花のことを指します。主に、小さい花や枝先が分かれた花が使われます。
例えば、スプレー菊(小菊)、ミニカーネーション、かすみそうなど。
以上が、代表的な花の種類と役割です。以上の4種類の花を揃えると、実際に豪華なアレンジメントが出来上がります。
アメリカの花屋では、大きく3つに分けてアレンジするところが多いです。その3種類とは、ラインフラワーと、フォーカルフラワー(マスフラワーとフォームフラワーを総称して)と、フィラーフラワーです。
美しいアレンジの構成の一つに、花の色合わせがあります。これは、とても奥が深く、この花の色については、花の色合わせ(別ページ)に詳しくまとめましたので、ご参照ください。
配色の考え方としては、本来は4種類あります。それは、類似色、一色濃淡、反対色、そしてトライアッドと呼ばれるものです。そのうち、ここでは簡単に3つだけご紹介しましょう。この3つを覚えておくと、実際の花選びに役立つと思います。どちらも初心者向けには、選びやすい色合わせになっています。花を選ぶときの参考にしてください。
一色濃淡 or 同系色: "Tone in Tone"(トーン・イン・トーン)
Monochromatic(モノクロマティック)
フラワーアレンジメントにおいては、最も活けやすい花の組み合わせと言われますから、初心者は、ここからスタートするとよいでしょう。例えば、ピンクなら、濃いピンクと薄いピンクを合わせたり、黄色も濃い色と薄い色を合わせたりすると、とても静かで落ち着いた感じのアレンジに仕上がります。
一例としては、濃いピンクのバラやチューリップに、薄いピンクのオーストロメリア、それにもう一つ、もうちょっと薄いピンクのミニカーネーションなどを組み合わせるなど。
ただ、おとなしい印象のあまり、おもしろみやインパクトに欠ける場合がありますので、質感の違う花どうしを合わせたりする工夫が必要です。この一色濃淡に慣れてきたら、次に、類似色にトライしてみてください。
類似色:
Analogous(アナラジャス)
色が似ている花どうしを合わせてアレンジすると、とてもまとまりやすく無難です。そして、やわらかい印象になりますので、誰からも好かれる色合わせになります。
例えば、一番わかりやすい例としては、黄色とオレンジを合わせる。一例としては、黄色のひまわりやガーベラにオレンジのバラを入れて、後もうひとつ何か黄色かオレンジの小花をあわせてみたりすると、全体に統一感がとれてきれいにまとまります。
反対色:
Complementary(コンプリメンタリー)
カラーウィールにある反対の位置にある花どうしを組み合わせます。とてもインパクトの強いアレンジに仕上がります。
例えば、黄色とブルーや紫。黄色のひまわりに、濃いブルーのデルフィニウムなどを組み合わせると、とても印象の強いアレンジになり、すてきにまとまります。上記の一色濃淡や類似色のアレンジより、男性はこちらを好むケースが多いようです。
花の質感の話
物に重い、軽いがあるように、もちろん花にも質的に重いものと軽いものがあります。英語では、Texture (テキスチャー)と呼ばれるものです。
これは、花を外側から見た感じ、つまりビジュアル的にどうなのか、という点ともう一つ、触った感じを表すときと両方あります。
見た目では、目立つ花でパッと目に飛び込んでくるような花。そして、色も濃く、大輪の花を質感の重い花と見ます。
その反対に、色が淡く、形も小さい花を質感の軽い花と言います。
または、触ったときに、その花の花びらはどんなふうなのか、つるつるしているのか、とげとげしているのか、それともまるでベルベットに触っているような感触があるのか。。。など、質もさまざまですね。花びらがしっかりしている花の方を質感の重い花と見ます。
アレンジメントの花の構成には、このような質感の重い花や軽い花とをバランスよく組み合わせることによって、より上級のアレンジへと発展していきます。
熟練のフラワーデザイナーになると、何百もの種類の花の中から、色を考慮し、活ける場所を頭において、そして、質感の違いや花材の役割を組み合わせて、数ある花の中から花選びをしながらアレンジしていけるようになります。
よい花の見分け方
よい花って、どんな花でしょうか?イキの悪い花にあたると、あっという間にしおれてしまいますからね。いざ、花屋で買うときのよい花の見極め方をお教えしましょう。
イキイキとした花は、こんな感じです。できたら手にとって花を近くで見ると一番よいですね。チェックポイントを挙げました。
1.花びらに厚みがありますか?
花びらがふっくらとして厚みのあるものは、鮮度のよい証拠です。
2.花びらは茶色に変色していませんか?
古くなると、花びらの先から変色が始まります。また、乾燥しているとそうなりやすいです。
3.花のガクはしっかりしていますか?
特にバラの首のところが柔らかい感じだと、すぐにぐったりしてきます。新鮮な花は、ガクの部分が緑色でハリがあります。
4.葉に傷はありませんか?
葉に穴があいていたりすると、害虫がついている恐れがあります。葉が破れていたりするのは、花の処理がまずかった証拠です。
5.葉にツヤがありますか?
新鮮な花は、花だけでなく葉にもツヤがあるものです。
6.つぼみの状態で買いますか、それとも開いているのがいいですか?
これは、花の品種によって違います。例えば、ゆりの場合は、つぼみが咲きかけの方が長持ちします。つぼみからどんどん花が開いていくタイプの花だからです。これがあまり開いていると、移動させるときに花びらに負担がかかり、花びらがよれたり傷ついたりしやすいので、気をつけましょう。
ところが、トルコキキョウなどは、切り花になるとつぼみが開くのにとても時間がかかります。なんとか咲かせようとしても、つぼみの先が固くて咲く可能性はとても低いです。ですから、トルコキキョウやクレマチス、リンドウなどの種類は、きれいに開いて咲いている花を選んできましょう。
バラも品種によって、花持ちがよいものと悪いものがあります。同じように水あげをしてあげても、バラの性質の違いによるものですから、仕方ありませんね。しかし、共通していることは、長持ちするバラのガクの部分はとてもしっかりしています。ここは気をつけて見るようにしてください。
スプレーローズ(1本の茎からたくさんの小花がついているバラ)は、残念ながらあまり長く持ちません。綺麗な色も多いので、短い期間その場を楽しくする花として扱ってあげてください。